補助金と助成金の活用
国や地方公共団体は、様々な分野に補助金や助成金を交付し事業活動を支援しています。いずれも返済の必要がないというのが共通するメリットですが、補助金は公募に対し採択された事業に交付されるもので、助成金は要件を満たす事業者が申請を行うと支給されるものです。いずれも公金が原資となっているため、要件が厳しく定められています。
1. 補助金とは
補助金は、国や自治体の政策目標などを実現するために、公益性が認められる事業に対して必要な資金の一部を補助するものです。補助対象の種類や範囲は幅広く、毎年の予算や政策に応じて多くの事業に補助金が交付されています。
定期的にウェブサイトなどで補助対象事業の要綱が公表され、募集期間が設定されます。期間は1~2か月以内のものが多く、この期間内に計画書を出さなければ対象になりません。募集の時期や期間、申請先や様式なども全て異なります。
なお、補助金は申請の要件に該当しても必ず交付されるものではありません。多くの申請の中から、限られた予算内において採択されるものです。経済や雇用、金融などさまざまな社会情勢を背景に審査が進められます。採択された事業は公表され、補助金交付後も定期的に事業の状況などを報告する義務があります。
2.助成金とは
助成金は雇用に関するものが中心で、雇用保険料の一部を原資として厚生労働省が所管しています。一部は市町村や県など自治体が独自に要件を定め、支給しているものもあります。契約社員から正社員への転換、社内での職業訓練実施など、「雇用の安定」や「職業能力の開発向上」が大きなテーマで支給されています。
補助金との大きな違いは、「要件を満たす場合には支給される」ことです。助成金の種類に応じてあらかじめ計画書を提出し、取り組みを実施後、賃金台帳や出勤簿などを添付して支給申請を行います。各助成金の要件を満たすことはもちろんですが、労働基準法をはじめとする労働関連法を順守した適切な労務管理がなされていることが大前提です。
いずれも先に「計画書」を提出しておくことが必要ですから、事業の種類や雇用している人数がそれぞれの要件を満たすものであっても、そもそも計画書を提出していなければ後から申請はできません。
補助金や助成金に関する情報は、所轄の官公庁がウェブサイトや広報誌などを通して発信していますが、積極的に情報収集を行い知っている人だけが活用できているというのが実情です。これから創業される方は、定期的に関連するウェブサイトをチェックしてみることをおすすめします。